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共振解析とは?放射ノイズ(EMI)対策で重要な電源・GND間共振の解析手法を解説

プリント基板を設計していると、「EMC試験で放射ノイズ(EMI)が規格値を超えてしまう」「対策を打ってもノイズの発生源がどうしても特定できない」といった壁にぶつかることがあります。原因が分からないまま試行錯誤を続け、再設計によってコストと納期が膨らんでしまうケースも少なくありません。

こうした放射ノイズの根本原因のひとつが、基板内部で発生する「電源・GND間の共振」です。そして、この共振がどの周波数・どの位置で発生するかを事前に明らかにする手法が共振解析です。

この記事では、プリント基板設計における共振解析について、以下の内容を専門エンジニアの視点から解説します。

共振解析とは

共振解析とは、対象物が特定の周波数(共振周波数)で振動や信号の振幅が急激に増大する「共振」という現象を、シミュレーションによって事前に予測・評価する解析手法のことです。共振は本来小さなエネルギーであっても大きな振動や電圧変動を引き起こすため、製品の不具合や性能低下の原因となります。

共振解析の主な種類

ひとくちに共振解析といっても、対象とする分野によって意味合いが異なります。代表的なものは次の3つです。

機械系の共振解析(固有値解析・モード解析)

構造物や部品が持つ固有振動数を求め、外部振動との共振を避けるための解析。

電気回路の共振解析

LC回路などで生じる共振周波数を評価する解析。

プリント基板の電源・GND間共振解析

多層基板の電源プレーンとGNDプレーンの間で生じる共振を評価し、EMI(放射ノイズ)対策につなげる解析。

本記事では、このうちプリント基板の電子機器設計で特に重要となる「電源・GND間共振解析」に焦点を当てて解説します。高速・高周波化が進む現代の基板において、EMC(電磁両立性)を確保するうえで欠かせない解析だからです。

 

なぜプリント基板設計で共振解析が重要なのか

電源・GND間共振が放射ノイズ(EMI)を引き起こすメカニズム

多層基板では、電源プレーンとGNDプレーンが薄い誘電体(絶縁層)を挟んで向かい合っています。この一対のプレーンは、電源を安定供給するための平行平板コンデンサとして機能すると同時に、平行平板共振器(キャビティ)としても振る舞います。

このキャビティは、基板の寸法と誘電率で決まる特定の周波数で共振します。共振周波数では、電源・GND間のインピーダンスが急峻に跳ね上がり(反共振)、プレーンがあたかも効率のよいアンテナのように電磁波を放射します。これが、外来ノイズではなく基板自身が発する放射ノイズ(EMI)の主要因のひとつです。

共振周波数は基板(プレーン)が大きいほど低くなる傾向があり、プレーンの形状・サイズ・層構成によって複数の周波数(共振モード)が現れます。つまり、同じ回路でも基板のレイアウトや層構成が変われば、共振の出方そのものが変わるという点が、共振解析を難しくしている要因です。

 

共振が設計に与える悪影響

電源・GND間共振を放置したまま設計を進めると、次のような問題につながります。

EMC試験の不合格:放射ノイズが規格値を超え、製品出荷の前提となる認証を取得できない。
回路の誤動作:電源の電圧変動(電源ノイズ)が大きくなり、IC・モジュールの動作が不安定になる。
再設計によるコスト・納期の増大:試作後に問題が発覚すると、レイアウトや層構成の見直しが必要となり、開発リードタイムが大きく延びる。

これらはいずれも、共振が発生する周波数と位置を設計段階で把握できていれば未然に防げるものです。だからこそ、試作前のシミュレーションによる共振解析が重要になります。

 

高速・高周波化で高まる共振解析の必要性

近年は通信機器や車載機器をはじめ、デジタル信号の高速化・高周波化が進んでいます。動作周波数が高くなるほど、その高調波成分が基板の共振周波数と一致しやすくなり、放射ノイズの問題が顕在化します。デジタルとアナログが混在するデジアナ混載基板では、この影響がより複雑に絡み合うため、共振解析の重要性はますます高まっています。

 

共振解析で分かること・解析の進め方

共振解析で明らかになること
電源・GND間共振解析を行うことで、主に以下のことが分かります。

共振周波数:その基板がどの周波数で共振しやすいか。
共振が発生する基板上の位置:プレーンのどの領域でノイズが強くなるか(電界・電位分布)。
PDN(電源分配ネットワーク)インピーダンスのピーク:どの周波数でインピーダンスが上昇し、電源ノイズが増大するか。

これらが分かれば、「どの周波数のノイズに対して」「基板のどこを」「どう対策すべきか」を論理的に判断できるようになります。やみくもにデカップリングコンデンサを追加するのではなく、根拠を持った対策が可能になる点が、共振解析の最大の価値です。

 

解析に必要なデータ・入力情報

共振解析を行うには、基板のレイアウト情報を含むCADデータ(ASCIIデータ)が必要です。代表的なものとして、次のようなファイルが利用されます。

dsnファイル:Cadence社「Allegro PCB Router」が出力するASCIIファイル。多くのプリント基板CADが出力に対応しています。
dsgfファイル:図研「CR-8000 Design Force」のpcbファイルから変換したASCIIファイル。
pcfファイル:図研「CR-8000 BoardDesigner」のpcbファイルから変換したASCIIファイル(読み込みにはftfファイルも必要)。
あわせて、層構成(スタックアップ)や使用部品の情報があると、より精度の高い解析が可能になります。

 

解析から対策までの一般的な流れ

共振解析は、解析して終わりではなく、結果をもとに対策へ落とし込み、その効果を再確認するという一連のサイクルで進めます。

解析の実施:CADデータをもとに、共振周波数・共振位置・PDNインピーダンスを算出する。
共振箇所の特定:問題となる周波数と、ノイズが集中する基板上の領域を特定する。
対策の検討・実施:デカップリングコンデンサの最適配置・容量選定、電源-GND間の誘電体を薄くしてプレーン容量を増やす層構成の見直し、プレーン分割の最適化などを行う。
再解析による効果確認:対策後に再度解析し、共振が抑制されたかを検証する。

共振解析とあわせて行うEMIチェック

放射ノイズ対策をより確実にするには、共振解析と並行して、レイアウト上のリスク要因を網羅的に点検するEMIチェックが有効です。具体的には、配線長チェック・ビア数チェック・基板端チェックなど、複数の観点からノイズの発生しやすい箇所を洗い出します。共振解析でマクロな共振の有無を捉え、EMIチェックでミクロな設計リスクを潰す——この両輪で進めることで、設計品質を大きく高められます。

 

共振解析を自社で行う際の課題

共振解析の有効性は高い一方で、これを自社内で実施しようとすると、いくつかのハードルに直面します。

専用解析ツールの導入・運用コストが高い

電源・GND間共振解析には専用の解析ツールが必要であり、導入費用や保守費用、運用環境の整備に相応のコストがかかります。解析の頻度がそれほど高くない場合、投資に見合わないケースも少なくありません。

 

解析結果を「具体的な対策」に落とし込む知見が必要

共振解析は、結果のグラフや分布図を出力するだけでは意味がありません。そこから「どのコンデンサを」「どこに」「いくつ配置するか」、あるいは「層構成をどう変えるか」といった具体的な対策へ落とし込むには、回路・基板設計とEMC双方にまたがる深い知見が求められます。ツールを導入しても、それを使いこなす人材がいなければ効果は限定的です。

設計業務と並行すると工数を圧迫する

解析には一定の時間と手間がかかります。通常の設計業務と並行して共振解析まで自社で抱えると、担当者の工数を圧迫し、かえって全体の納期に悪影響を及ぼしかねません。

 

共振解析を外部に委託(代行)するという選択肢

こうした課題を解決する有効な方法が、共振解析を専門企業に委託(代行)することです。

 

解析代行サービスを利用するメリット

ツール投資が不要:高価な解析ツールを自社で持たずに、必要なときだけ専門的な解析を利用できる。
精度の高い解析が得られる:経験豊富なエンジニアが解析を行うため、結果の信頼性が高い。
工数を削減できる:解析業務を外部に任せることで、自社のリソースを本来の設計業務に集中できる。

 

代行先を選ぶ際のチェックポイント

共振解析の代行先を選ぶ際は、次の3点を確認するとよいでしょう。

解析だけでなく対策・基板設計まで提案できるか:レポートを出すだけでなく、具体的なノイズ対策まで踏み込めるかどうかが、問題解決のスピードを左右します。
対応できるCADデータの種類:自社が使用しているCADの出力データ(dsn、dsgf、pcfなど)に対応しているかを確認します。
レポートの具体性:解析結果が、次のアクションにつながる実用的な内容になっているか。

 

共振解析の代行なら「アナログ回路・基板 設計製作.com」へ

当サイト「アナログ回路・基板 設計製作.com」を運営するシスプロでは、EMIチェック・共振解析ツールを自社で保有し、解析代行サービスを提供しています。EMC対策で必須となるEMIノイズの抑制と、その発生原因となる電源・GND間共振の抑制について、設計コンサルティングも含めてトータルにサポートいたします。

私たちが多くのメーカー様から選ばれている理由は、単なる解析レポートの提出にとどまらず、具体的な基板設計・ノイズ対策方法までご提案できる点にあります。配線長チェック・ビア数チェック・基板端チェックをはじめとした15項目のEMIチェックと共振解析を組み合わせ、ノイズの発生源を特定したうえで、効果的な対策をご提示します。

「放射ノイズの原因が特定できない」「EMC試験に通らず再設計を繰り返している」「共振解析を自社で行うリソースがない」——そうしたお悩みをお持ちでしたら、ぜひ一度ご相談ください。アナログ回路・基板に関するお困りごとを、私たちが解決へと導きます。

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まとめ

共振解析は、プリント基板の放射ノイズ(EMI)対策における要となる手法です。特に電源・GND間共振は放射ノイズの主要因であり、その共振周波数と発生位置を設計段階で特定できれば、EMC試験の不合格や再設計のリスクを大きく減らせます。

一方で、自社での共振解析には、ツールの導入コスト・対策に落とし込む知見・工数といった壁があります。これらを乗り越える有効な手段が、解析から具体的な対策提案までを一貫して任せられる代行サービスの活用です。共振解析でお困りの際は、ぜひ専門家への相談をご検討ください。

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