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インピーダンスとは?高周波回路設計に必須なインピーダンス、インピーダンスコントロール(インピーダンス制御)について

インピーダンスについて

当コラムでは、特に高周波回路設計時に重要となるインピーダンスの考え方についてご説明します。

インピーダンスとは?

インピーダンス(Z)とは主に交流回路での電圧と電流の比の事、つまり電流の流れにくさを表す言葉です(単位はΩです)。ここまでの説明ですと、直流における抵抗値をイメージされると思いますが、概念的には近いものがあります。ただし、インピーダンスはあくまで電圧と電流の比の事であり、抵抗器やコイル、コンデンサのように具体的な形があるものではありません。

プリント基板におけるインピーダンスは配線するパターンの幅、厚み、基板材料の比誘電率、板厚等が
複雑に絡み合って決定されされます。

インピーダンスの計算式

ここでは主にプリント基板におけるインピーダンスの計算式について説明します。

計算式

信号の伝達速度、損失の管理がシビアとなる高周波基板においては配線幅/配線ギャップ、板厚、等を高精度で製造する必要性があります。特に比誘電率は各基板製造メーカーの製造条件、電解銅やレジストインクの種類によって変わってきますので、基板製造メーカーとの連携が非常に重要です。

インピーダンスコントロール(インピーダンス制御)とは

次に、インピーダンスコントロールについてご説明します。

入力インピーダンスと出力インピーダンス

入力インピーダンスとは電子機器等で入力側から見たインピーダンスの事です。別名負荷インピーダンスとも言われます。出力インピーダンスは同様に、出力側から見たインピーダンスの事です。
オーディオ機器などの場合は「ロー出し・ハイ受け」と言われ出力インピーダンスが低く入力インピーダンスが高い設定にするのが一般的です(出力インピーダンスが低い程電圧源と電圧が印加される回路の電圧の差(電圧降下)が小さくなるため)。

インピーダンスコントロール(インピーダンス制御)とは?

高周波信号を扱う電子機器の場合入力インピーダンス、伝送線路のインピーダンス、出力インピーダンスは等しくなるように設計しなければなりません。これは出力回路~伝送線路~入力回路の境界でのインピーダンスの不整合により、信号に反射波・定在波が発生し、ノイズとなってしまうからです。

インピーダンスマッチング

インピーダンスアンマッチによる信号反射の例

このような状況を回避するためにプリント基板設計を行う際には伝送線路のインピーダンスを入出力回路のインピーダンスと整合を取るように配慮した設計を行います。これを基板設計における「インピーダンスコントロール」と言います。前項でご説明した通り、プリント基板のもつインピーダンスは様々な製造条件、素材等によって変動しますので、製造メーカーと連携を取り、設計・製造のパラメータをすり合わせる必要があります。

プリント基板におけるインピーダンコントロール(インピーダンススマッチング)の手法

インピーダンコントロール(インピーダンスマッチング)にはどのような方法があるのでしょうか?ここからは、インピーダンコントロールの手法についてご説明いたします。

1.単線インピーダンスコントロール

 

・マイクロストリップ線路

信号直下層のGNDプレーンとの絶縁層の厚みを調整してインピーダンスをコントロールします。

・コプレーナ線路

信号の配線幅・厚みと隣り合う左右のGNDとのギャップを調整してインピーダンスをコントロールします。

・ストリップ線路

内層パターンのインピーダンスコントロールに使用します。信号の配線幅と上下のGNDプレーンとの絶縁層の厚みで調整します。

2.差動インピーダンスコントロール

差動インピーダンスとはUSBやHDMI、PCIe等の差動伝送はP/Nで構成されており、その2本の配線のインピーダンス値はそれぞれの規格で決まっております。
USBは差動90Ω、HDMIやPCIeは差動100Ωとなります。
差動信号は外部に与えるノイズが少なく、高速で消費電力も少ない特徴があります。
通常の信号はシングルなのでGNDを返してリターン電流が発生し、経路をきちんと確保できないとコモンモードノイズが発生してしまいます。
その点、差動信号は行きと帰りの線をペアで引くことによりノイズをお互いに打ち消し合う為、ノイズに強いのが特徴です。(ディフェンシャルモード)
他に機器内(基板内)での接続で使用されている伝送線路にLVDSがあります。LVDSはUSBやHDMIのように外部に接続するケーブルとは違って普段は目にする事はありませんが重要な役割を果たしております。
LVDSは差動信号(差動インピーダンス100Ω)で伝送されます。
その為、上記で説明した内容と同じで3つの特徴があります。
① コモンモードノイズに強い(差動信号)
② 大容量のデータ伝送ができる。
③ 消費電力が少ない。

・差動インピーダンスコントロールの手法

差動信号(LVDS)の場合も前述の単線インピーダンスコントロールと同様なインピーダンス整合の方法があります。(上図はマイクロストリップ線路の例)
差動配線の場合は信号P/Nのペア(レーン)の配線ギャップもコントロールのパラメータ要素になります。LVDSでもう一つ重要なポイントは信号P/Nのペアの配線長誤差を極力小さくすることです。ペア間で配線長が異なると、P/Nの信号伝送時間に差が生じ、結果的に信号の歪に繋がります。

差動線が等長のの場合

差動線が等長でない場合

 

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高速信号ラインのGNDガード処理

 

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