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IGBTとは?構造や等価回路についてご説明

当技術コラムでは、高電圧と関係が深い「IGBT」について詳しく説明します。そもそもIGBTとは何か、IGBTの原理や構造、用途について説明します。
最後に、無料の技術ハンドブックのご案内もございます。
アナログ回路・基板設計担当者の方にお役に立てる内容となっておりますので、是非ご覧くださいませ!

IGBTとは?

IGBT(絶縁ゲート型バイポーラトランジスタ)とは、”Insulated Gate Bipolar Transistor”の頭文字をとったものです。パワー半導体デバイスのトランジスタの一種です。

IGBTの構造

IGBTはMOSFETのドレイン側にP+コレクタ層が形成された構造となっています。コレクタ(C)側のP層をP+コレクタ層、エミッタ(E)側のP層をPエミッタ層と呼びます。

IGBTはコレクタ(C)からエミッタ(E)に向かってP型半導体とN型半導体がP→N→P→Nと並んだ構造となっています。

等価回路においては、Nチャネル型MOSFETのドレイン(D)はN-ドリフト層、ゲート(G)はIGBTのゲート(G)、ソース(S)はN+層となっています。また、PNPトランジスタのコレクタ(C)はPエミッタ層、ベース(B)はN-ドリフト層、エミッタ(E)はP+コレクタ層に対応しており、Nチャネル型MOSFETのドレイン(D)とPNPトランジスタのベース(B)はN-ドリフト層で共通となっています。

IGBTの等価回路

IGBTの等価回路は、PNPトランジスタとNチャネル型MOSFETを接続したものとなっています。

等価回路において、エミッタ(E)に対して正の電圧をゲート(G)に印加すると、NチャネルMOSFETがオンして、PNPトランジスタにベース電流IBが流れます。その結果、コレクタ(C)からエミッタ(E)にコレクタ電流ICが流れるようになります。この動作はNチャネル型IGBTと同じ動作です。

IGBTの原理と基本構造

トランジスタの「増幅」「スイッチングによるオンオフ切り替え」を行うスイッチング素子です。トランジスタ自体はシリコンで出来ています。
基本的には、エンハンス型nチャネルMOS FETのドレイン部分に、p型半導体を追加し、PNPバイポーラトランジスタの構造にしたものです。
入力はMOSFET、出力はバイポーラトランジスタといったイメージです。
MOS FETは通常、バックゲートがソースに直結しており、オフ時に逆起電力で回路が破損しないよう電力を逃がすために寄生ダイオードが設置されているのですが、IGBTではこの寄生ダイオードは設けず、p型半導体を追加している形となります。

IGBTでは所有する端子の入力部をゲートと呼びますが、ソースはエミッタ、追加したp型側はコレクタと呼び、MOS FETとバイポーラトランジスタを合わせたようなトランジスタです。

ゲートに電圧を加えるとMOS FETで電流が流れ、それがp型半導体に流れます。
バイポーラトランジスタは電流電圧を増幅することができるので、入力した電圧よりも大きい電流を流すことが可能となります。

IGBTはバイポーラトランジスタになる事で、スイッチング速度はMOS FETと比べてかなり遅くなってしまいます。
しかし、パワー半導体の中では比較的高速でスイッチングします。バイポーラトランジスタと比べると高速です。

IGBTの耐圧性はMOS FETとバイポーラトランジスタが合わさることにより耐圧性が上がりました。

バイポーラトランジスタには「伝導変調率」という特性があります。スイッチをオンにした時には抵抗も発生しますが、正孔がn型層に入り込むことで抵抗が緩和され、電圧降下を抑える、というものです。
これによって損失も最小限に抑えられ、効率アップ。同時に発熱も最小限となります。

 

IGBTとインバータ

インバータとは逆変換回路により直流から交流を発生させる電源装置で駆動周波数が低く、大電流大電力である。IGBTをブリッジ接続することでインバータ回路として使用します。

IGBTの用途

大電力インバータ、無停電電源装置(UPS)、電車、ハイブリッド車、電気自動車、エアコン、冷蔵庫、洗濯機、電子レンジ、IH調理器、照明機器など、多くの家電装置や大電流を必要とする製品の電源として使用されています。

IGBTモジュール

IGBT回路を一から作成し、動作させるには大変な労力が発生します。
そこで現在よく使われているのがパッケージ化されモジュールになります。使用時には必要な機能を確認の上、使用すると良いです。
IPM(インテリジェント・パワーモジュール)という、IGBTの制御信号や増幅回路、保護回路、寄生ダイオードなどを搭載した部品もあります。
このような商品は小型化と効率の良い電力制御が可能になります。

IGBTと高電圧

IGBTはバイポーラトランジスと同じような出力(耐圧性)があるため高電圧の電源で使用することができます。

 

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