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耐トラッキング性とは?耐トラッキング性試験も併せて説明

当技術コラムでは、耐トラッキング性とは何かついてご説明します。
また、耐トラッキング性の規格、CTI、PTIとの違い、耐トラッキング試験についても解説します。
アナログ回路・基板設計担当者の方は、是非ご覧くださいませ!

 

耐トラッキング性とは?

耐トラッキング性の前に先ずはトラッキングとは何かを確認しましょう。
絶縁物の表面に起きる放電により電気の通り道である導電路(トラック)が形成されることで、配線間でショート(絶縁破壊)してしまうことをトラッキングと言います。
この現象は基板上では信号のON/OFFを繰り返すことにより起きるため部品を実装した当初は発生しない現象です。
したがって、耐トラッキング性とはトラッキングを起こしにくい耐性のことを指しています。

 

耐トラッキング性の規格とCTIについて

絶縁物のトラッキングの起こしにくさ指標としては、 比較トラッキング指数 (comparative tracking index:CTI) が用いられることが多く、UL規格では破壊電圧を6段階のクラス(performance level category :PLC)に分類しています。

PLC CTI
600 ≦ CTI
400 ≦ CTI < 600
250 ≦ CTI < 400
175 ≦ CTI < 250
100 ≦ CTI < 175
CTI < 100

 

 

耐トラッキング性は絶縁物表面での絶縁の達成のために必要となる沿面距離に影響しますが、
規格ではCTI の値そのものではなく、次のような「材料グループ」を用いて規定されています。

材料グループ CTI
600 ≦ CTI
400 ≦ CTI < 600
Ⅲa 175 ≦ CTI < 400
Ⅲb 100 ≦ CTI < 175

CTIと材料グループとPLCの関係をまとめると下記のようになります。

材料グループ PLC CTI
600 ≦ CTI
400 ≦ CTI < 600
Ⅲa 250 ≦ CTI < 400
175 ≦ CTI < 250
Ⅲb 100 ≦ CTI < 175
CTI < 100

国内メーカのハロゲンフリー多層基板材料は材料グループⅡ相当。

 

CTIとPTIの違いについて

耐トラッキング性を示す指標として、CTIのほかにPTIがあります。

CTI(比較トラッキング指数)は、材料の基本的特性及びその比較に使用します。
一方、PTI(保証トラッキング指数)は、材料及び加工部品の品質管理手段として、また製品受入れの基準としても使用されています。

PTIとは保証トラッキング指数(Proof Tracking Index)の略称であり、絶縁物の表面に電圧を印加した状態で、塩化アンモニウムの0.1%溶液を30秒毎に1滴滴下し、50滴滴下してもトラッキングの起きない保証電圧がPTI値となります。

 

耐トラッキング試験

①5個の試験片(絶縁物)を用意する。
②試験片の上面をほぼ水平に支持し、各試験片(絶縁物)表面の白金電極間に電圧を印加する。
印加する電圧は、100V~600Vの範囲で25V間隔。
③電圧を印加した状態で、電極間に塩化アンモニウムの0.1%溶液を一定間隔(通常は、30秒毎)に1滴滴下する。
④電解液を50滴滴下しても5個の試験片(絶縁物)の全てがトラッキングの起きない最大電圧がCTI値となる。

 

高電圧と耐トラッキング性

一般的には今まで白物家電やテレビ、ステレオ、ラジカセなどの中に入っている電源基板は紙フェノール基板(FR-1,2)や紙エポキシ基板(FR-3)、もしくはガラスコンポジット基板(CEM-3)が多い傾向でした。
これはコストダウンという意味合いももちろんですが、高電圧の部分での耐トラッキング性の問題があったためです。
つまり、これらの基板が耐アーク性・耐トラッキング性、耐湿性に優れていたからでもあります。
ただ、昨今ではICのファインピッチ化が進み、片面基板や2層基板では済まなくなってきました。
最近では、耐トラッキング性に優れたガラスエポキシ基板(FR-4)も出来ており、多層化もできることで選択肢が増えています。

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いかがでしたでしょうか。
耐トラッキング性とは何か、耐トラッキング性の規格、CTI、PTIとの違い、耐トラッキング試験について解説しました。
耐トラッキング性についてご理解頂けましたでしょうか。
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