今回の記事では、ビルドアップ基板について詳しく解説します。
どのような特徴があり、また多層貫通基板と比べてどのような違いがあるのでしょうか。
ビルドアップ電源基板設計におけるメリット・デメリットについても解説します。
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ビルドアップ基板とは?
ビルドアップ基板とは、コアとなる基板の上に導体を1層ずつ積み上げて多層化した基板です。この基板はビアによるスペースを低減する事ができ、配線スペースを確保することができるため、パターン設計がしやすくなります。
また高密度設計にも適しており、製品の小型化や多機能化が実現できることで、ビルドアップ工法による配線板のニーズは増加し続けています。
ビルドアップ基板と多層貫通基板の違い
ビルドアップ基板と多層貫通基板の違いは、層間接続を「レーザービア」でしているか、「スルーホール」でしているかです。
ここでいう「レーザービア」とはレーザービームを基板に照射して空ける100μm程度の穴のことであり、「スルーホール」はNCドリルマシンで基板に空ける貫通穴のことです。ちなみに、ドリルで基板を貫通するものを「貫通基板」と言います。
また、「スルーホールに比べてレーザービアが小さい」「レーザービアが非貫通穴である」という特徴から、内層への配線の自由度が上がりビルドアップ基板は高密度な配線が可能となります。
>>多層貫通基板に関する解説記事はこちら!
ビルドアップ電源基板設計のメリット
ビルドアップ基板のメリットは基板の小型化が行えることです。高密度化(部品密度)で設計ができ、部品面と半田面に別々の回路を配置する事も可能です。
また、部品配置の際に、表面層での配線スペースを考えなくても良いです。部品のパット内に直接ビアを打つ事(パットオンビア)ができ、最短の配線をする事や放熱パットにもパットオンビアを打つ事により放熱対策にも効果的です。
電源基板設計は特にパットオンビアをすることで電源ループを小さくする事ができ、ノイズに強い配線をする事ができます。電源設計の基本は太く短く配線する事ですのでスペースがない場合には有効かと思います。また、1層目と2層目の層間厚が薄くなる為、2層目にGNDにした場合クロストークや反射対策が効果です。
ビルドアップ電源基板設計の注意点(デメリット)
ビルドアップ基板の設計を行う上で、GNDビアの数と位置によりGNDの電位差が各層によって生じる事があります。
また、貫通基板と同じように上層から下層まで同じ場所かその周辺で各層が接続する必要があります。その場合には、ビルドアップビア(レーザービア)とコアビア(ドリルビア)のばらつきにより電位差が生じないよう、特にコアビア(ドリルビア)をたくさん打つ事を心掛けて配線をして行くと良いでしょう。
加えて、電源線は貫通基板と比べてビルドアップピアを多数配置する必要があります(コアビアに対して2倍から3倍)。ビルドアップピアの数が足りないと、電圧降下を起こしてしまいますので注意が必要です。
ビルドアップ基板のGNDビア設置について解説した動画がございますので、
ご確認ください。
>>Youtube:高周波基板 設計チャンネルはこちら!
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いかがでしたでしょうか。
ビルドアップ基板の概要、ビルドアップ電源基板設計のメリット・デメリットについてご理解いただけましたでしょうか。
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