回路・基板にまつわる技術情報、技術コラムを掲載しています


アナログ回路・基板 設計製作.comの
技術情報・技術コラム

電源基板とは?設計で失敗しないためのポイント解説

電源基板の特徴とは

電源基板は、信号処理を主目的とするロジック基板とは異なり、「電力供給」に特化した基板です。その最大の特徴は、数アンペア以上の大電流に対応する広く厚い銅箔パターンや、高電圧に耐えるための厳格な絶縁距離(空間・沿面距離)の確保が求められる点にあります。

また、電力変換に伴う「発熱」を効率的に除去する放熱設計と、機器全体の誤作動やEMC規格不適合の原因となる「ノイズ」を抑制する対策が、設計の重要な要となります。これら大電力・熱・ノイズの制御こそが、電源基板の設計を高難度にする要因です。

電源基板の設計で失敗しないためのポイント

ポイント1:ノイズ対策

スイッチング動作に起因するノイズ対策は、電源基板設計の要です。フィルタ回路の適切な配置はもちろん、特にGND(グランド)の設計が重要となります。

高周波電流のリターンパスを信号線の直下に確保し、ループ面積を最小化することがノイズ抑制の基本です。多層基板では、各層の空きスペースをGNDで埋めて層間の結合を強化すると、基板全体のノイズ耐性が向上します。また、大電流が流れるパワーGNDと、微弱な信号を扱うシグナルGNDを分離することも、相互干渉を防ぐ上で不可欠な手法です。

ポイント2:熱対策

電源基板の信頼性確保には、熱対策が不可欠です。まずスイッチング素子やダイオード等の電力損失から総発熱量を把握し、部品のディレーティング(負荷軽減)を考慮することが重要です。

設計目標は、この熱を効率的に放散させ、部品接合部から周囲までの熱抵抗を下げることです。対策として、基板の回路パターンをヒートシンクとして最大限活用し、内層へ熱を逃がすサーマルビアを設けるといったレイアウト上の工夫で熱抵抗を低減します。これにより部品温度を安全な範囲に保ち、長期的な信頼性を確保します。

ポイント3:部品レイアウト

感覚的な配置ではなく、機能ごとに部品をグループ化し、論理的に配置することがレイアウトの基本です。まず、「電源入力部」「スイッチング部」「制御回路部」「出力部」など、回路図のブロックごとに部品群をまとめます。

次に、コネクタや主要ICを基点とし、電力や信号の流れに沿ってこれらのブロックを配置します。このプロセスの中で、先に述べた電源基板特有の要件(ノイズ対策のための電流ループ最小化、熱対策のための熱源分離など)を同時に満たすことが、配線を最適化し、設計の失敗を防ぐ鍵となります。

スイッチング電源 設計のポイント のダウンロードが可能!

アナログ回路・基板 設計製作.comでは、技術資料を無料で発行しております。昇圧スイッチング電源 設計のポイントをまとめたハンドブックがありますので、是非ご確認ください。


>>お役立ち資料はこちらから無料DL!

技術情報・技術コラム

お気軽にご相談ください

アナログ回路・基板 設計製作.comを運営するシスプロは、
培ってきた回路・基板設計ノウハウを駆使し、皆様に高品質な基板をご提供します。
アナログ回路・基板に関するお困りごとは、私たちにお任せください。