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スイッチング電源とは?発生させるノイズとその対策

当技術コラムでは、基板でノイズ対策に用いられる「スイッチング電源」について解説します。
そもそもスイッチング電源とは何か、スイッチング電源の仕組みと構造、用途や回路方式について説明します。
また、スイッチング電源によるノイズ対策についても解説します!
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アナログ回路・基板設計担当者の方にお役に立てる内容となっておりますので、是非ご覧くださいませ!

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スイッチング電源とは?

スイッチング電源はスイッチング素子を用いて入力電圧から一定の出力電圧に変換する電源装置です。AC-DC変換DC-DC変換降圧型昇圧型昇降圧型と様々な電源装置があります。
また、スイッチング電源は電力損失が少なくする事ができ、装置自体の小型化も特徴です。しかし、スイッチングノイズが発生しますのでEMI対策設計は不可欠となります。
EMIについては、以下の記事にて詳しく解説しております。こちらも是非ご覧下さいませ。

>>EMCとは?EMI・EMSも併せて解説

 

スイッチング電源の仕組みと構造

スイッチング素子(トランジスタやMOSFET)を用いてON/OFFを繰り返して出力電圧を決めます。このON/OFFの割合を変える事によって出力される電圧が変化します。(デューティー比、デューティーサイクル)。

入力電圧が違う場合、例えばAC100V~AC240Vといった各国でACの入力電圧が違う場合スイッチング電源ではデューティー比(パルス幅)を変える事により出力電圧を一定にする事ができます。
入力電圧100Vの時、出力電圧20Vのトランス場合、出力電圧12Vを作るには60%電源ON、40%電源OFFで20×0.6=12(V)出力電圧は12Vを作ることができます。
また、同じトランスを用いて入力電圧240Vの時、出力電圧48Vになりますから、出力電圧12Vを作るには25%電源ON、75%電源OFFにすることにより
48×0.25=12(V)で作る事ができます。
このように入力電圧が違ってもデューティー比を変動させる事により出力電圧を一定にする事ができます。

 

スイッチング電源の用途

安定した電源供給と小型化、軽量化、高効率、安価です。

スイッチング電源の種類

直流安定化電源
交流安定化電源
DC-DCコンバータ
AC-DCコンバータ

スイッチング電源の回路方式

非絶縁DC/DCコンバータ回路形式(降圧型、昇圧型、昇降圧型)
絶縁DC/DCコンバータ回路形式(フォワード方式、フライバック方式、プッシュプル方式、ハーフブリッジ方式、フルブリッジ方式、制御方式)などがあります。

スイッチング電源とノイズ対策

スイッチング電源はスイッチング素子によるON/OFFの切り替えが高速に行われる為、高周波ノイズを発生させます。この高周波ノイズを低減する為にON時とOFF時の電源ループを極力小さくすると共に高周波成分を除去するコンデンサを最適な場所に配置する必要があります。

AC-DCスイッチング電源では、まず入力側では雷ザージ対策や静電対策を配置し、基板内に外部からの高電圧が入って来ないように対策致します。
次に、伝導ノイズの侵入を阻止する為に、ラインフィルタを通します。
ディファレンシャル(ノーマル)モードノイズの除去には下記の方法があります。
反射によるノイズ対策にはLC回路フィルタ(ローパスフィルター)でノイズを低減できます。
コモンモードノイズの除去には、コモンモードノイズフィルタを配置し、出力側に(Yコン)を配置しGNDへ接続し低減します。
コモンモードノイズフィルタの入出力の端子に(Xコン)を配置する事によりディファレンシャルモードノイズを低減する事ができます。

その後、整流ダイオード、平滑コンデンサを通し、スイッチングトランスへスイッチングトランスではスイッチングノイズやスパイクノイズが発生します。
スイッチングノイズやスパイクノイズを低減するには入出力のコンデンサを端子の直近に配置し電源ループを小さくします。また、スナバ回路(RC回路)も効果的です。
部品配置や配線の引き回しによってもノイズの低減に大きく差が出できます。

DC-DCスイッチング電源(降圧)では、スイッチング動作時の基本周波数から発生するものとスイッチング動作時のリンギング,及び入力電圧変動から発生します。
外部供給電源からコネクターを通してケーブルへ伝搬する伝導ノイズにディフェンシャルモードノイズやコモンモードノイズが発生します。
DC-DCコンバータの入力部分から電磁波として放射ノイズが発生します。
また、PCBの配線にはL成分や部品の寄生C成分が存在します。
PCBの寄生インピーダンスを下げる為には部品配置と最適配線をする必要があります。スイッチングノイズ(リンギング)を低減するには電源ループを小さく事(太く短く配線する事)で寄生インダクタンス下げる事ができます。

DC-DCコンバータICの電源ピンの直近に入力コンデンサを配置しGND端子への配線も最短になるようにします。(寄生インダクタンスを低減することができ、リンギングを低減できます。)
ダイオードの配置は、入力コンデンサと同一面に配置しICの直近にします。

インダクタの配置と配線注意事項は以下の内容が挙げられます。

・インダクタ直下のGNDを設けない。
・インダクタ直下の配線は避ける。
・インダクタ端子間は近くしない。
・出力コンデンサの配置 入力と出力は近づけない。
・電源クロストーク フィルター前後の配線の並走、交差を避ける。
・FB端子配線 出力コンデンサの根元から検出する。インダクタの近くの配線は避ける。

以上のように、PCB設計によるノイズ対策が不可欠になります。

 

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いかがでしたでしょうか。
スイッチング電源についてご理解頂けましたでしょうか。

以下のページにてノイズ対策のためのシールドついて解説しております。
よりノイズ対策の知識が深まりますので、ぜひご覧下さい。

>>基板におけるノイズ対策のためのシールド

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