EMCは、Electro Magnetic Compatibilityの略で、電磁環境適合性や電磁両立性と呼ばれます。具体的には、空間にノイズを放射せず、ノイズを受けた場合に電子機器が意図しない動作をせず機能を維持できるように規格を満たしている状態のことです。電子機器等からノイズが放射され受信機がノイズを受け取るとノイズ障害が発生し、意図しない動作を引き起こします。電子機器の高機能化により電子機器が放射する電磁界波ノイズは増大する傾向にあり、EMCの重要性は高まっています。
EMCはEMI(エミッション)とEMS(イミュニティ)の2つに分けられ、両方の能力を持つ必要があります。
EMIとは
EMI(Electro Magnetic Interference)とは、ある発生源から空間にノイズを放射することを言い、エミッションと呼びます。ノイズにより他電子機器の性能劣化をおこすため、「電磁障害」といわれることもあります。不要な電磁ノイズは、電子機器の動作に多大な影響を与え、性能の低下につながりますので、EMI対策が必要となってきます。
EMCの分野においては、ノイズ放射を少なくするために、ノイズ源の力を小さくし流れるノイズ電流を弱くすることが必要となります。
EMS(Electro Magnetic Susceptibility)とは、ノイズを受けても電子機器が意図しない動作をせず、性能を低下させずに動作する能力のことです。
1つの電子機器で機械や装置が動作することは少なく、様々な電子機器が相互に作用して、初めて機械や装置が動作します。周辺の機器によるノイズの影響で性能が低下してしまうと、望んだ動作を得られないことにつながるため、EMS対策が必要となります。EMCの分野においては、受信アンテナの感度を低くしたり、信号周辺を防御することでノイズの伝導を回避することが重要となります。
アナログ回路の場合、ノイズを受けやすくなり(ノイズに弱い)、またデジタル回路の場合はノイズを放射しやすく(ノイズ源となる)なるため、デジアナ混載基板におけるEMSの重要性は高くなります。