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高電圧対策の基礎知識、沿面放電と沿面距離

沿面放電と沿面距離

当技術コラムでは、高電圧と関係が深い沿面放電、沿面距離について説明します。基板設計者・回路設計者の皆様、是非参考にしてください。

沿面放電とは

沿面放電とは絶縁物体上に置かれた導体に高電圧を印加した場合に絶縁物の表面を伝わって放電が起こる現象です。プリント基板上では絶縁物はプリント基板の基材(ガラスエポキシ等)・レジストインク等がこれにあたり、本来導通してはならないパターン間に放電が発生する事になります。それ以外にも基板を止めるネジ、ワッシャー、筐体、シールドケース等、あらゆる導体間で発生する危険性があります。沿面放電によって絶縁破壊が進行するケースもありますのでプリント基板で高電圧回路を設計する上では沿面距離の確保が重要になりますが、近年のプリント基板の小型化の要求とのトレードオフとなるケースが多く、設計に何らかの工夫が必要となります。

沿面放電の原理・メカニズム

前項で述べた通り、絶縁板の上に両電極がある場合、両電極に高電圧を印加してゆくと放電は空気中を直結せず、絶縁体の表面を通って放電する現象です。

コロナ放電(沿面放電もコロナ放電の一種)では電子が陽極に集中して加速され、衝突した空気の分子から電子を放出させイオン化させます。この時オゾンが発生します。オゾンによって酸化し、またコロナ放電の発熱等の複合的な原因により、絶縁体は徐々に劣化し、絶縁破壊を起こし、最終的に火花放電に繋がります。コロナ放電自体は非常に微弱な放電のため、電子回路の動作に影響は発生しない場合が殆どです。しかし、経年使用により蓄積した絶縁劣化により突然火花放電に繋がる場合があります。

沿面放電と沿面距離

プリント基板の場合、実行動作電圧に対する沿面距離は「JIS C6950-1:2012 2.10.4.3 最小沿面距離」によって規定されています。

 

ここでの汚染度の分類は「国際規格IEC60664-1」によって規定されています。おおまかにいうとその機器を使用する環境が

汚染度1:汚染が基本的にない環境(クリーンルーム、容器で完全に密閉された環境、コーティングされたプリント基板(樹脂ポッティング処理))

汚染度2:乾燥した非導電性の汚染物だけが存在している状態(オフィス、研究室、家庭、制御盤内の電子機器、事務機等)

汚染度3:乾燥した非導電性の汚染物が存在している環境、または導電性の汚染物(土など)が存在している環境(湿気を含んだ誇りは工作機械の切削粉などが多い工場、工事現場等)

汚染度4:乾燥した非導電性の汚染物その他の湿潤状態などにより常に導電性となる物質が存在している環境(屋外や雨が想定される環境)

一般的な電気・電子機器は汚染度2を想定して設計されています。

高電圧基板設計時の沿面距離確保の例

高電圧基板を設計する場合、前項の沿面距離の規定に沿った設計が必要となりますが、沿面確保と基板の小型化の要求を同時に満たす事は容易ではありません。沿面確保が必要な導体間にスリットを入れる等の工夫により沿面を確保しつつ小型化も実現する工夫が必要となります。

スリットを設けた後

また、設計時はプリント基板上の平面の沿面距離だけでなく、周辺の筐体、部品、ネジ等との立体的な沿面距離にも注意を払う必要があります。

高電圧基板設計時の沿面距離確保の例の詳細は以下のリンクよりご覧ください。

>>スリットを設けて沿面距離を確保し高電圧対策

 

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