EMI(電磁妨害)対策は、電子機器の性能を安定させ、他の機器への影響を最小限に抑えるために不可欠です。特に、プリント基板設計においては、以下の対策が重要となります。
EMI対策の具体的な方法
EMI対策の方法について代表的なものを紹介します。
グランド対策
- グランドプレーンの形成: 基板全体にグランドプレーンを形成することで、ノイズ電流を一点に集め、放射を抑制します。
- ビアの配置: グランドプレーンにビアを多数配置し、インピーダンスを低くすることで、ノイズ電流の経路を明確にします。
- グランド分割: 高周波ノイズと低周波ノイズを分離し、それぞれに最適なグランド経路を設けることで、ノイズの伝播を抑制します。
- ガード: 信号線と信号線の間にグランドガード線を設けることで、ノイズの誘導を防止します。
電源対策
- デカップリングコンデンサ: 各ICの電源ラインにデカップリングコンデンサを配置し、ノイズ電流を吸収します。
- 電源ラインのレイアウト: 電源ラインとグランドラインを平行に配置し、インダクタンスを最小化します。
- 電源ノイズフィルタ: 電源ラインにノイズフィルタを挿入し、外部からのノイズ侵入を防ぎます。
配線設計
- 差動ペア: 高速信号線は、差動ペアで配置し、コモンモードノイズを抑制します。
- 配線長: 信号線の長さを揃え、インピーダンスの不連続を最小化します。
- 配線パターン: 配線パターンは直線的で、45度角の折り返しを避けるようにします。
部品配置
- ノイズ源と受信部の距離: ノイズ源となる部品と受信部を離して配置します。
- 高周波部品: 高周波部品は、基板の端の方に配置し、放射を抑制します。
- シールド: ノイズ源となる部品をシールドで覆います。
フィルタ対策
- LCフィルタ: コイルとコンデンサを組み合わせることで、特定の周波数のノイズを減衰させます。
- 電源フィルタ: 電源ラインにフィルタを挿入することで、電源ノイズを低減します。
シールド対策
- 金属シールド: 基板全体を金属シールドで覆うことで、外部からのノイズ侵入を防ぎ、内部からのノイズ放射を抑制します。
- EMIガスケット: 基板と筐体との間にEMIガスケットを挿入し、電磁波の侵入を防止します。
筐体のレイアウト対策
- ノイズ源と受信部の分離: ノイズ源となる部品と受信部を離すことで、ノイズの影響を低減します。
- 配線の束ね方: 配線を束ねる際は、ツイストペア線を使用したり、グランド線と平行に配置したりすることで、ノイズの誘導を防止します。
- 高周波回路の配置: 高周波回路は、他の回路から離して配置し、シールドで覆うことで、放射ノイズを低減します。
基板設計のポイント
- 高周波回路と低周波回路の分離: 高周波回路と低周波回路を物理的に分離することで、相互間のノイズ干渉を抑制します。
- 層構成: 多層基板を用いることで、グランドプレーンを複数層に配置し、ノイズ対策を強化できます。
- シミュレーション: 設計段階でEMIシミュレーションを行い、ノイズ発生源を特定し、対策を検討します。
- 標準規格への準拠: EMC規格(CISPR、FCCなど)に準拠した設計を行うことが重要です。
その他の対策
- 部品選定: 低ノイズ部品を選定します。
- 筐体設計: 筐体の材質や構造を工夫することで、EMI対策に貢献します。
- 製造工程管理: 製造工程での静電気対策やハンダ付けの品質管理が重要です。
EMI対策のまとめ
EMI対策は、多岐にわたる対策を組み合わせることで効果を発揮します。基板設計の段階からEMI対策を考慮し、製品の信頼性向上に努めることが重要です。