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プリント基板における熱解析とは?

プリント基板における熱解析とは、電子機器の動作時に発生する熱の挙動を、試作前の設計段階において計算機上で予測・評価する手法のことです 。放熱シミュレーションとも呼ばれ、専用のCAE(Computer Aided Engineering)ツールを用いて、基板上の電子部品から発生する熱がどのように伝導し、周囲に放熱されるかを精密に算出します

熱解析の基本的な定義と目的

熱解析の最大の目的は、基板内部における「熱溜まり」を設計段階で特定することにあります 。電子機器が複雑化し、部品が高密度に実装される現代の設計において、特定の箇所に熱が集中することは避けられません。この熱集中(ホットスポット)を事前に可視化することで、熱による部品の経年劣化や故障、いわゆる熱暴走を未然に抑制することが可能となります

解析のプロセスでは、パワー半導体やモータドライバといった高発熱部品を主な対象とし、それらが搭載された際の温度分布をシミュレーションします 。これにより、放熱パターンの最適化やヒートシンクの必要性、配置場所の追い込みを、実機を作る前の「設計段階」で判断できるようになります

解析が可視化するもの(温度分布と熱流路)

シミュレーションによって可視化されるのは、単なる部品の表面温度だけではありません。基板の銅箔パターンを通じた熱伝導、空気の対流による放熱、そして筐体壁面への放射など、複雑に絡み合う熱の経路(熱流路)が明らかになります。特にアナログ回路やパワー回路においては、大電流が流れるパターンの電気抵抗による自己発熱も考慮する必要があり、これらが周辺の信号ラインや敏感なアナログ素子に与える影響を把握できる点は非常に重要です。

また、密閉筐体やファンレス設計といった、物理的に冷却条件が極めて厳しい製品開発においても、熱解析は不可欠なツールとなります 。空気の流れが制限された環境下で、どのように熱を逃がすかの戦略を立てるための客観的なデータを提供します

熱解析を設計に活かして「手戻り」を防ぐポイント

熱解析(放熱シミュレーション)を導入する最大の価値は、実機試作の前に「設計の妥当性」を定量的に検証し、致命的な手戻りを未然に防ぐことにあります。解析結果を単なる予測値として受け取るのではなく、具体的な設計変更の判断材料として活用することが、プロジェクト成功の鍵となります。

設計初期段階での「熱溜まり」の特定

基板設計において最も避けるべきは、特定の領域に熱が集中する「熱溜まり(ホットスポット)」の見落としです。熱解析を実施することで、目視や経験則では予測が困難な基板内部の温度分布を可視化できます。

特にパワー半導体やモータドライバを搭載する基板では、部品自体の発熱に加え、周囲との熱干渉が深刻な課題となります。設計の初期段階で解析を行い、熱的に厳しい箇所を特定できれば、部品配置の変更だけで解決できる可能性が高まります。これにより、基板完成後に熱暴走が発覚し、回路設計からやり直すといった最悪のシナリオを回避できます。

放熱パターンの最適化(銅箔厚やサーマルビアの活用)

解析結果は、基板のアートワーク設計における具体的なパラメータ決定に直結します。例えば、高発熱部品の直下に配置すべきサーマルビアの数や、放熱用銅箔面積の妥当性を数値で確認可能です。

シミュレーションを用いることで、ビアを増やした際の効果を事前に検証できます。むやみなビア追加は製造コスト増や信号品質(SI)の劣化を招く恐れがありますが、熱解析に基づけば、最小限の構成で最大限の放熱効果を得る最適設計が可能です。また、大電流経路において銅箔厚をどの程度厚くすべきかについても、熱的な根拠を持って決定できます。

ヒートシンクの必要性判断と配置の追い込み

高価な大型ヒートシンクや冷却ファンの採用は、製品コストとサイズの増加に直結するため、可能な限り避けたい要素です。熱解析を活用すれば、基板単体での放熱限界を早期に判断でき、外部冷却部品が本当に必要なのか、あるいはパターン設計の工夫だけで対応可能かを明確にできます。

ヒートシンクが必要な場合でも、解析データに基づいて最適な形状や配置を設計段階で追い込めます。これにより、筐体設計との整合性を早期に確保でき、開発の最終局面で「物理的にヒートシンクが収まらない」といったトラブルが発生するリスクを排除できます。

開発効率の向上とコストの削減

熱解析による事前検証は、結果として試作回数の削減とリードタイムの短縮をもたらします。評価試験で熱問題が発覚した場合、再設計や部品再手配には多大な時間と費用が必要です。設計段階で熱的課題を潰し込み、「一発で通る基板」を作ることは、製品の市場投入スピードを左右する極めて強力な競争優位性となります。

シスプロの熱解析が選ばれる理由

実戦的な対策提案
ただ結果を指摘するだけでなく、「スナバ回路をこの位置に」「GND ビアをこの密度で」といった、設計者ならではの具体的改修案をセットで提案します。レポートを「設計指示」としてそのまま活用いただけます。

駆け込み案件への対応
「他社で試作したが EMC 試験で NG となった」基板の持ち込み解析を歓迎します。現状の設計を客観的に評価し、最小限の改修で規格をパスするための最短ルートを提示します。

アナログ・パワーの専門性
昭和 49 年の創業以来、高周波・高電圧・大電流のアナログ基板を追求してきました。技能士資格を持つエンジニアが、シミュレーション数値の裏にある物理現象を読み解き、動作の確実性を担保します。

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