プリント基板のアートワーク設計とは?
プリント基板のアートワーク設計とは、電子回路の性能を具現化するための極めて重要な工程です。電子部品の電気的な接続情報を示した「回路図」を基に、実際に部品を基板上に配置し、それらを銅箔パターンで配線するための物理的な「実装設計図」を作成する作業全般を指します。単に回路図通りに線を繋ぐだけではなく、回路が持つ性能を最大限に引き出し、かつ安定して動作させるための様々な専門的知見が求められます。
このアートワーク設計の品質が、最終製品の性能、信頼性、コスト、そして製造のしやすさ(製造性)までを決定づけると言っても過言ではありません。特に、微弱な信号を扱うアナログ回路や高速なデジタル信号を扱う回路、あるいは高電圧・大電流を扱う電源回路などでは、部品の配置や配線のわずかな違いが、ノイズの発生や信号品質の劣化、意図しない発熱といった深刻な不具合に直結します。
アートワーク設計の主な作業は、以下の3つのプロセスで構成されます。
- 部品配置(レイアウト設計) 回路図に基づき、電子部品を基板上の最適な位置に配置する工程です。信号の流れ、熱、ノイズなどを総合的に考慮して決定します。
- 配線(ルーティング) 配置した部品間を、銅箔パターンで結線する工程です。配線の長さや太さ、経路を最適化し、信号の劣化やノイズを防ぎます。
- 製造データの作成 基板メーカー向けに、銅箔パターン、穴あけ位置、シルク印刷など、製造に必要な全ての情報を含む「ガーバーデータ」を作成します。
結論として、アートワーク設計は、優れた回路設計の性能を最大限に引き出すために不可欠な、論理情報を物理的な形状に落とし込む設計技術です。
アナログ基板のアートワーク設計で直面する課題
アナログ回路基板の設計は、デジタル回路と異なり、物理現象に起因する複雑な課題に直面します。基板のレイアウトが製品性能を直接左右するため、特に以下の3つの課題への対処が不可欠です。
課題①:ノイズによる性能劣化
アナログ回路が扱う微弱な信号は、内部・外部からのわずかなノイズで性能が著しく劣化します。GNDの取り方やシールド配線など、ノイズの発生源と伝達経路を理解した対策が求められます。
課題②:高電圧・大電流による放電や発熱
電源回路などでは、導体間の距離が不十分だと放電の危険があり、パターン幅が足りないと過度な発熱で基板を損傷する恐れがあります。安全規格に基づいた絶縁距離の確保や、電流容量を考慮したパターン設計が必須です。
課題③:高周波回路における信号品質の低下
高周波回路では、配線は「伝送線路」として振る舞い、インピーダンスの不整合が信号反射や波形劣化を引き起こします。インピーダンスコントロールや等長配線といった高度な設計技術が求められます。
シスプロだからこそ可能な高難度アナログ基板のアートワーク設計
アナログ基板のアートワーク設計における課題解決は、理論だけでなく、長年の経験に裏打ちされた実践的なノウハウが不可欠です。私たちシスプロは、昭和49年の創業以来、一貫してアナログ回路基板の設計に特化してきました。特に、高周波・高電圧・大電流といった高難度な領域において、ノイズや放電、発熱といった様々なトラブルを回避するための設計ノウハウを豊富に蓄積しています。「プリント配線板設計技能士」の資格を持つ専門エンジニアが、お客様の厳しい要求仕様をクリアするための最適設計をお約束します。
こうした高度な技術力は、年間150件以上の豊富な設計実績や、設計から実装、筐体製作までワンストップで対応する短納期体制、さらにはシミュレーションを駆使した科学的アプローチによって支えられています。ぜひ一度ご相談ください。
>>当社が選ばれる理由
>>課題解決提案事例