アナログ回路・基板 高電圧対策ナビ

高電圧基板の具体的な定義は特にはありませんが、一般的には数百V以上の電圧が掛かるような基板のことを言います。普通のデジタル回路の感覚で設計をしてしまうと大変危険です。電圧をよく考慮しないと基板が燃えてしまったり、感電してしまったりと人命に関わるような大事故を引き起こす可能性があります。ここでは高電圧対策を行う上で重要な設計のポイントをご紹介します。

高電圧によるプリント基板への影響

高電圧によるプリント基板への影響
高電圧によるプリント基板への影響

高電圧を取り扱うプリント基板は隣接するパターンや部品、ネジやワッシャー、金属筐体との電位差によって(平面および立体的)に適切な距離を確保しないと意図しない絶縁破壊、放電が発生し、正常に動作しないばかりか感電などの事故につながり大変危険です。

【高電圧基板の重要項目】
①各国の規格:JIS・UL・IECなど
②電位差  :パターン間ギャップと耐電圧
③汚染度  :埃の有無・導電性の有無・結露の有無で1~4段階に分類される。
④絶縁材料(CTI値):CTIとは比較トラッキング指数(Comparative Tracking Index)の略称で、
           耐トラッキング試験によって決定される。トラッキングは絶縁材料表面
           上の電位差にある部分に炭化導電路(トラック)か形成され、絶縁材料
           が絶縁性を失う現象で、トラッキングに対する抵抗性(耐久性)を耐ト
           ラッキング性という。
⑤空間距離 :空間が狭すぎると胴体間で過電圧によるアーク放電が発生する。湿度も影響大。
⑥沿面距離 :絶縁材の表面に沿った距離のことをさす。表面の距離を稼ぐ方法はいくつかある。
       代表的な例はスリットを入れることである。

高電圧基板は上記のような重要項目を踏まえ、高電圧による絶縁破壊、放電を防止する設計が必要となります。

高電圧対策のポイント

高電圧電源設計を行うために、確認しなければならない項目として以下のようなものがあります。
・安全規格の確認:地域や国によって電圧が異なり、製品によっても規格が変わります。
・各回路部分の電圧の確認:配置、配線を行う場合、近づけても大丈夫な場所と距離を取らないと危険な箇所がある為、確認する必要があります。各電圧の電位差で沿面距離が変わります。

ここでは、高電圧対策を施した回路・基板を設計する上で重要な、3つのポイントをご紹介します。

Point1 電位差がある部分においては
安全規格に基づき適切な沿面距離をとる
Point1
Point1

安全規格に基づき沿面距離を確保することが重要です。高電圧の電源は火災や感電と言った事故が起こらないように規格を守らなければなりません。
各回路部分の電圧の確認を行い電位差による沿面距離を確保しながら配置、配線を行ってください。安全規格に遵守した沿面距離の確保は必要不可欠です。

Point2 物理的に沿面距離の確保が難しい場合は
スリットを開けることで沿面距離を確保する
Point2
Point2

使用する部品によっては部品の端子間で沿面距離が確保できないものもあります。その場合、部品の端子を広げて間隔とり沿面を確保致します。
それでも沿面が確保できない場合、部品の端子間(プリント基板)にスリット(穴)を開ける事により少し沿面距離を緩和する事ができます。この処理も穴の大きさ、電圧により異なり安全規格を確認して距離を確保していきます。
配線経路が無い場合やスリットを用いても沿面距離が確保できない場合は、リード線でその区間をジャンパーすることもあります。

Point3 高電圧回路において
最適なノイズ対策を行う
Point3
Point3

外部からの電源供給の場合、ACインレット(電源コンセント)からのノイズ対策、外部からの入力はケーブルを通して様々なノイズが入ってくるため、適切にノイズ対策を行うことが重要です。
ノイズを除去し、きれいな安定した電源を供給する為に、Xコン、Yコン、ラインフィルター、ブロックケミコン(スーパーキャパシター)、スナバ回路等で電源ノイズ抑制します。この時にも当然、沿面距離を確保しながら部品配置と配線をすることが重要となります。

高電圧対策の事例

高電圧対策に関する関連記事

高電圧対策は
アナログ回路・基板 設計製作.comにお任せください!

アナログ回路・基板 設計製作.comを運営するシステムプロダクツは、高電圧対策を施した回路・基板設計のノウハウを持ち、皆様に選ばれ続けてきました。
基板の設計において、高電圧対策という面でお悩みをお持ちの皆様、お気軽に当社に御相談ください。設計から基板製造・部品実装までの対応も可能です。

お気軽にご相談ください

アナログ回路・基板 設計製作.comを運営するシスプロは、
培ってきた回路・基板設計ノウハウを駆使し、皆様に高品質な基板をご提供します。
アナログ回路・基板に関するお困りごとは、私たちにお任せください。